「おジャ魔女どれみ」の魅力

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メインコンテンツ:なぜ「おジャ魔女どれみ」が素晴らしいのか

子供向けアニメっていろいろです。単に関連玩具の売上げにのみ力を入れた作品もあれば、子供の教育・成長のことをしっかりと考えたアニメもあります。

その中でも、1999年から2003年にかけて放送されていた「おジャ魔女どれみ」は一歩上を行く作風に仕上がっているのではないでしょうか。作り手が、しっかりと子供のことを考えていて、教育的にレベルの高い作品になっているばかりでなく、大人の視聴にも耐えうるような「社会性の強いエピソード」も含まれています。例えば…。

しかも、これらのまじめなエピソードを、「魔法」で簡単に解決してしまう…などという短絡的な手段はとられていません。

おジャ魔女どれみの世界においては、「病気や怪我を治す魔法」や「人の心を変える魔法」などは禁じられています。もし使ってしまった場合、それ以上の反動が自分に返ってくるような呪いがかけられているのです。

加えて、一旦「魔女」になった人間が、普通の人間から「魔女」だと指摘されると、「魔女ガエル」という醜い生物になってしまう呪いも存在します。

したがって、これらの現実的な問題を魔法の力だけでは解決できないばかりでなく、それを他の人にばれないように使っていかなければならないのです。

無暗に魔法を使うことはできない故に、現実的な手段で問題を解決していくおジャ魔女達。そんな状況では、当然、子供達だけでは解決できないような難しい問題もたくさん待ち構えています。したがって、周囲の大人達も巻き込んで解決に導かなければなりません。

おジャ魔女どれみは、単なる女児向けの魔法少女アニメではなく、レベルの高い「社会派アニメ」作品なのです。

「春風どれみ」と、不登校の少女「長門かよこ」

「おジャ魔女どれみ」を語るうえで絶対に欠かせないのが、上述の例の中にも挙げた、この「不登校」のエピソードです。

おジャ魔女どれみの第3部作「も〜っと!おジャ魔女どれみ」(2001年)において、不登校の少女「長門かよこ」に視点をあてたエピソードが、計3回放送されました。

かよこは、作中で3年生のとき(1999年)、主人公の「春風どれみ」達が通う小学校(美空第一小学校)に転校してきた女の子です。どれみ達とは5年生になるまで別のクラスだったので、このエピソードが始まるまでは一切の面識がありませんでした。

真面目で繊細な性格で、何事もゆっくりと時間をかけて慎重に作業するような女の子で、「班単位で競争させられた」ときに足を引っ張ってしまったことが遠因となり不登校になってしまいました(詳細は第45話の回想の中で語られます)。

この3部作は、そんな「かよこ」が、「どれみ」を始めとする様々な周辺人物(学校の先生なども含む)からの援助を受け、徐々に心を開いて学校に通えるようになっていくという、非常に心温まる話です。第38話では「保健室登校」が実現し、第45話ではついに教室に入れるようになります。

名言・名シーンの連続:第45話「みんなで! メリークリスマス」

特に、完結編である「第45話」は、作中トップクラスの名言・名シーンが凝縮された、非常に完成度の高いエピソードになっています。

2004年放送の番外編「ナ・イ・ショ」も含めると、全部で214話のエピソードがありますが、この第45話「みんなで! メリークリスマス」が最も素晴らしいのではないかと思います。

この回で特筆すべき点は、主人公「春風どれみ」のやさしさ、思いやりの強さです。どれみは、一言で言ってしまえば「非常に人間らしい」女の子です。難しいことを考えるのが苦手で、いつも「直感」に従って行動しています。それゆえドジや失敗が多く、不器用さも目立つのですが、誰よりも人の痛みが分かるようなやさしさを持ち合わせているのです。

そのやさしさに対しての評価は、4人目のおジャ魔女である「瀬川おんぷ」も本エピソード中で言及しています。

自分は芸能人だから、他の人とは違うって思ってた。
学校に来たって、みんな特別な目で見るし、誰も「本当の私」なんか分かりっこない、って思ってたんだ。
心に「囲い」を作って、誰とも友達になるもんか、って。
…でもね、その「囲い」を、あっさり破って私の心の中に飛び込んで来た人がいたの。

…私、分かったんだ。どれみちゃん達といると、「芸能人」じゃなくて、「小学生」の瀬川おんぷでいられるんだ、って。

考えることよりも先に手が出てしまうどれみは、不登校であったかよこに対してもとんちんかんな行動を起こします。なんと、学校を休んでまで、かよこが普段勉強に通っている図書館に突撃してしまうのです。

このあたりは第20話「はじめて会うクラスメイト」を見ていただければ分かるのですが、最初はドライだったかよこが、不思議な行動を起こしまくるどれみを見て面白がり、徐々に心を開いていく描写があります。本人からしてみれば、魔法の効果も含めてさんざんな目にあっており大変ですが、自らに不利益な出来事が続いてもペースを崩さないどれみの姿を見ていなかったら、かよこが心を開くことはなかったでしょう。

さて、第45話でも、保健室の入口でつまづいて転ぶ、という失敗を2回連続でやらかしたどれみ。2回目は自身の給食を手に持っていたので、主菜の「酢豚」を全部床にぶちまけてしまいます。あいこ(3人目のおジャ魔女)からは「にんじん」を、はづき(2人目のおジャ魔女)からは「ピーマン」を、ももこ(5人目のおジャ魔女)からは「たまねぎ」を貰い、さらにかよこからはメインの「豚肉」を貰って体をくねらせながら喜びます。

ここでもやはり「ドジ」な性格がプラスに作用しており、どれみの面白い行動を見ていて心がなごんだからか、ついにかよこが「不登校になった理由」を本音で語りだします。

第45話は、ここからシリアスなシーンへと移行します。途中からは、現担任の関先生や、隣のクラスの西沢先生、そして、元4年1組のクラスメート5人(林野まさと、菊池はじめ、飯塚けんた、木根ひろこ、和田みんと)も保健室に入ってくるため、ドラマ番組のような様相を呈してきます。

そして、不登校になった理由をすべて語り終えたあと、かよこが自らの気持ちを本音で陳述します。

私、何をするのも遅いし、前の学校でもみんなから嫌われていじめられたんです。
パパは私の話も聞かないで、「学校が悪い」って怒ってばかりだし…。ママは泣いちゃうし…。
何の解決もしないまま転校したけど、そしたら、今度は私が学校行かなくなっちゃって…。

私がいると、みんな不幸になるんだ…って思った。

ここで、誰よりも人の気持ちが分かるどれみは、真っ先にかよこを抱きしめ、温かい言葉をかけます。

つらい思い、いっぱいしたんだね。
でも、そんなこと、思っちゃだめだよ。
かよこちゃん、とてもいい子だよ。
私、かよこちゃんのこと、大好きだよ…!

どれみのやさしさに触れたかよこは、どれみに抱かれたまま、目から涙をぼろぼろ流します。数ある「おジャ魔女どれみ」のエピソードの中でも指折りの名シーンですが、この第45話には、このシーンをも凌ぐ強烈な名シーンが存在 (次節にて説明) します。

この後、事態は急展開し、先生2名(担任の関先生と、保健室のゆき先生)と両親が面談することになります。現在はフリースクールで子供たちに勉強を教えている元4年1組の担任「市川先生」のところにも会いに行き、物語が解決する方向へと進んでいきます。

そのフリースクールを訪れたときの市川先生の口からも、やはり名言が飛び出します。これこそ、「おジャ魔女どれみ」の社会派ドラマ的な一面です。

ここは、いろいろな事情で学校に行けなくなってしまった子供達の施設でね、動物の世話をしてもいいし、野菜や花を育てるのもいい。
もちろん「勉強」したっていい。やってみたいことをやれる場所なの。
私が教師の仕事を休んでここに来たのは、長門さんと同じように、不登校になった子供達と正面から向かい合って、接してみたかったから。

先生としてではなく、いちボランティア員として一緒に生活することで、この子たちと、友達になろうと思ったの。

私ね、この子達からいろいろ学んだおかげで、あなたに、プレッシャーばかりかけていたんだって気づいたの。

長門さん、ここに来ない?
ここに来れば、学校に行かなくちゃ、って思わなくて済むし、とっても楽しいわよ。

このように「フリースクール」が明確な映像として登場し、あたかもドラマ番組であるかのような名台詞が聞ける、という恐るべき女児向けアニメは他には無いでしょう。劇中には「フリースクール」という言葉は一切出てきませんが、フリースクールというものを、メインの視聴者である子供たちにも分かりやすいように描写しているところが圧巻です。

誰よりも人の痛みを理解して行動できる女の子:春風どれみ

保健室登校状態にあったかよこが、ついに5年1組の教室へと向かいます。しかし、その途中、不登校になったときの悪い思い出がフラッシュバックし、かよこは吐き気を催して座り込んでしまいます。

そんなかよこを見て、どれみが何も行動を起こさないはずがありません。ここで起こしたどれみの行動が、本当にすごいのです! 普通の人にはまず真似できないような行動を、誰よりも早く、とっさに実行しています!

※本当はこういうことをしてはまずいでしょうが、フェアユースの観点を考慮してキャプチャー画像を1枚だけ使用させていただきます。「おジャ魔女どれみ」における私的ベスト1の名場面を、画像無しでは説明できません!!

「おジャ魔女どれみ」私的ベスト1の名場面:吐き気を催したかよこに対し、どれみがとっさに服の裾を差し出すシーン
も〜っと!第45話の終盤より。今にも吐きそうなかよこに対し、とっさに服の裾を差し出すどれみ。

吐きたければ、吐けばいいんだよ。
かよこちゃん、ここに吐きな!

…いいんだよ。かよこちゃんの迷惑なら、全然平気だよ。
だって私達、友達じゃん!

初めてこのシーンを見たときは、感動よりもまず先に強烈な衝撃を受けました。客観的に見ると、嘔吐しそうな人物に対して真っ先に「自分の服を差し出す」という行為は非常に滑稽なので、最初は吹き出しそうになりました。

しかし、このシーンを見てしばらくたってから、どれみのとった行動のやさしさが尋常でないほどに高レベルだということに気づき、大いに考えさせられることになりました。このシーンが、自分にとって「おジャ魔女どれみ」という作品や、主人公の「春風どれみ」に惚れ込むことへの決定打となったのです。

果たして、あなたは、これと同じような状況におかれたとき、とっさにこのような行動に出て、思いやりのある温かい言葉をかけてあげることができるでしょうか? …自分には到底真似できません。

でも、このように人の気持ちを理解してすぐさま行動に出られることは、「人間」にとって一番大事なことではないでしょうか? そういう意味で、この「春風どれみ」の行動はすごすぎます。

どれみのやさしさ溢れる行動が発端となり、飛鳥ももこ(5人目のおジャ魔女)、そしてクラスメートの菊池はじめ、林野まさと、和田みんとも自らの服の裾を差し出し、「私のだってあるよ!」「僕らのだって、ある!」と続きます。どれみがとっさにとった思いやり行動が、みんなの心を動かしたのです。

この一連のやさしさを受けて吐き気がおさまったかよこは、ついに立ち上がり、クラスメートのみんなから「がんばれー!」と声援をうけつつ、教室に向かって歩み始めます。そして最後に教室に入ったとき、担任の関先生に抱きしめられて、物語が終了します。

これで、単なる「女児向けアニメ」ではない、ということがお分かりいただけたかと思います。「おジャ魔女どれみ」という作品は、現実の「社会問題」をテーマにドラマを構築している、非常にハイレベルなアニメ作品なのです。

今回は「不登校」のエピソードに焦点を当てましたが、他にも「おジャ魔女どれみ」にはさまざまな社会問題を取り入れた秀逸なエピソードが数多く登場します。この文章を読んで「おジャ魔女どれみ」を見てみたくなったという方は、次節で紹介する手段を参考にしてみて下さい。

「おジャ魔女どれみ」の、正規で、かつ手軽な視聴手段

最近は有料・無料問わずインターネット上でアニメが見られるサイトが増えてきました。無料のコンテンツは、「非正規」という意味では無く、広告等が入る代わりに全話無料で視聴することができたり、「最初の 1 話だけ無料」というような話数限定のコンテンツであったりします。

例えば、GyaO! あたりだと、地上波では放映されなかった「おジャ魔女どれみナ・イ・ショ」の第 1 話をユーザー登録無しで見ることができたりします。本編は見たが「ナ・イ・ショ」は見ていない、という方は利用する価値があるんじゃないでしょうか。

有料でもいいから全部高画質で見てみたいという方は、東映アニメーション公式サイトの「東映アニメBBプレミアム」あたりが良いのではないでしょうか。このサイトの特徴としては、

といったところでしょうか。定期的に作品が入れ替わるため、「おジャ魔女どれみ」もシリーズの一部が一時的に「公開終了」になることがありますが、2009年5月からは「ナ・イ・ショ」も含めて見られるようになったので、視聴環境としてはかなり恵まれていると思います。

特に、ウェブマネーの残額が中途半端に余って困っている、という方は、今回紹介した不登校のエピソード

だけでも是非見ていただきたいと思います。「おジャ魔女どれみ」をあまり知らない方が見ても、十分理解できるはずです。

ちなみに、ウェブマネー自体はプリペイド式で、コンビニ等で手軽に入手できるので、クレジットカードとは異なり、未成年者でも安心して使うことができます。

主人公の「春風どれみ」の名言と行動

このページに書いている内容からも明らかだと思いますが、執筆者の J.S.BUFFER は、ほぼ「春風どれみ」に一辺倒です。

おジャ魔女どれみの範囲に限らず、一番好きなアニメキャラクターは? …と聞かれたとしても、迷わず「春風どれみ」だと即答するでしょう。

なぜ「春風どれみ」を推しまくるのか。言葉では説明しきれないので、「春風どれみ」の名言と行動を紹介しながら、その理由にせまっていきたいと思います。

人の痛みを理解するということ

「おジャ魔女どれみ」関連の版権ゲームの1つとして、Windows 用のアドベンチャーゲーム「ないしょのまほう」が発売されています。アニメ本編のエピソード群にはやや劣りますが、「おジャ魔女どれみ」のスタッフも監修に関わっており、レベルの高い作品に仕上がっています。

この作品でのどれみの行動が、いかにもどれみらしいので、まず最初に紹介しておきたいと思います。

どうしたの? どこか具合でもわるいの?

それより、どうしたの? なにか困っていたようだけど……あたしでよかったら話してみてよ、相談にのってあげるよ!

この作品では、魔女の住む「魔女界」からやってきた、どれみ達と同い年の「りずむ」(マジョリズム)というオリジナルキャラクターが登場します。どれみと肩を並べるほどのドジなキャラクターですが、何があっても常にペースを崩さない「どれみ」とは異なり、りずむは、ドジである自分に自信を持つことができておらず、何かヘマをするたびに弱気になってしまうような女の子です。

上記のセリフは、人間界にやってきて、道に迷って困っているりずむに対して、どれみが話しかけてきたときのものです。さすが、困った人を見かけると放っておけないどれみ。優しいです。

訳あって、りずむは、どれみ達が(見習いの魔女してやっていくために)手伝っている「MAHO堂」というお店に数日間住み込むことになります。上記のセリフは序盤のものですが、その序盤の選択肢の分岐次第で、おジャ魔女達のうちの誰とメインに関わるかが決まります。個人的には、やっぱり「どれみ」ルートのシナリオが一番だと思います。

ここで、どれみがりずむに対してフォローしたときのセリフを2つ紹介したいと思います。まずは、1日目のシナリオ「最初のお仕事!失敗してもがんばろう!」から。りずむが、MAHO堂の売り物にするためのアクセサリー用のビーズを床にこぼしてしまったときのセリフです。

はずかしいなんてことないよ。こんなの失敗のうちにはいんないじゃん!

失敗しても、次はがんばるっ!っていう気持ちがあれば、きっとうまく行くよ!ね?

さすが、どれみはいつも前向きだけあって、フォローの内容もポジティブです。誰でも、失敗したときはこのようにフォローしてくれる人がいると、気持ちが楽になるものでしょう。

次は、3日目のシナリオ「思い出と公園」から。MAHO堂に来店した客からこんな子さっさとクビにしなさいよ!、と言われてすっかり落ち込んでしまったりずむ。ここで、どれみがフォローしてくれているときに、2つの選択肢が出現します。

どれみシナリオでベストエンディングに辿り着くためには、ネガティブな「B」のセリフを選んではいけません。しかし、ここで「B」を選んだときの方が、当然、どれみのセリフとしては強い反応がかえってきます。

そんなのちがう! 絶対にちがう!
そんなのドジとかじゃなくて、自分ひとりでかかえこんじゃってるだけじゃん!

上述の「B」の選択肢のようなことを言ってしまうほどにまで自らを思いつめているりずむ。それに対して、りずむの気持ちをしっかりと汲みとって、ややきつめな口調で諭しつつ、フォローするどれみ。このどれみのような、人の痛みを理解して優しく接することは、誰もが見習うべきことではないでしょうか。

このシーンと、どれみのセリフが、「おジャ魔女あどべんちゃー ないしょのまほう」の中で一番の名シーンだと個人的に思っています。

余談:「おジャ魔女あどべんちゃー ないしょのまほう」のデータファイルに関して

「おジャ魔女あどべんちゃー ないしょのまほう」は、吉里吉里3というアドベンチャーゲームのエンジンをもちいられて作られています。そのため、インストール先のフォルダーの中身を確認すると、吉里吉里3のアーカイブファイル (拡張子が *.xp3) がいくつか含まれています。

これらのアーカイブファイルには特に暗号化はかかっていないので、ネット上にてフリーで公開されている吉里吉里3用のアーカイブファイル解凍・展開ツール (xp3dec など) を使用して、中身にあるファイル (画像、音声、BGM、シナリオなど) を取り出すことができます。

例えば、scenario.xp3 というファイルを展開すると、シナリオのテキストファイルがそのまま見られるようになるので、「どの選択肢が正解ルートか?」などの情報も含めていろいろなことが分かります。「ないしょのまほう」自体が現在ではやや入手困難ですが、もし所持されている方がいたら試してみるのも良いかもしれません。

大人相手でも容赦しない「どれみ」の言動

どれみがフォローを入れたり、ときには強く諭しつけるような、人の気持ちのことを考えた言動は、同年代の子供に対してだけではありません。ときには大人に向かって強く物申すこともあります。

その最たる例が、第3部作(も〜っと!)の29話「恐怖! 井戸ユウレイの呪い」に登場します。

どれみと同じ学年に、住職の息子の「山内信秋」と、教会の娘の「佐藤なつみ」の2人がいます。2人の家…すなわち「お寺」と「教会」は隣り合っています。しかし、それぞれの父親は、小さい頃にその「幽霊」が原因でずっと険悪な関係になっています。

その父親達が子供だった当時、幽霊を実際に目の前にして、「逃げた」「逃げてない」ということでずっと言い争っており、このエピソードにおいてもどれみ達の目の前で口喧嘩してしまいます。

大の大人、しかも男性同士が喧嘩しているのですから、それはもうかなりの迫力です。普通の子供だったら、父親同士の喧嘩を止めに入ることなんて怖くてできないでしょう。しかしどれみは…。

そんなの…そんなの、どうだっていいじゃん!
「逃げた」「逃げない」なんてどうでもいいじゃん!
大事なのは、そんなことじゃないでしょ!

真っ先に止めに入ったどれみの行動と態度はさすがです。相手が同い年の子供であろうと、大人の父兄達であろうと関係ありません。

そういう意味での実例として、このシーンは価値のあるシーンだと思っています。「春風どれみ」の良さが際立っているシーンの1つです。

小学校卒業のときに「どれみ」にかえってきた感謝の言葉

最後に、卒業式のエピソード (=4年間続いた「おジャ魔女どれみ」の最終回) において、周りの同級生からかけられた感謝の言葉を4人分紹介して、締めくくりたいと思います。

まずは、一番最初に紹介した、元不登校の少女「長門かよこ」の言葉。

どれみちゃんは、ここにいる誰よりもやさしいよ。
どれみちゃんがいなかったら、私、ずっと学校に来られなかった。
…みんなと一緒に、卒業できなかった。

次に、病弱なあまり入院生活が続いていた女の子「中山しおり」の言葉。

私も同じよ。

どれみちゃんがみんなとお見舞いに来てくれたから、辛い入院生活にも耐えられたんだと思う。
どれみちゃんのやさしさは、まわりのみんなを、元気にしてくれるの。

3人目は、医者の息子で、学級委員をやっていた「林野まさと」の言葉。

ふたりの言うとおりだよ。

くやしいけど、6年1組は、学級委員の「僕」ではなく、きみを中心にまとまっていたんだ。

最後に、普段は高飛車で、自分の気持ちをなかなか素直に表現できない「玉木麗香」の言葉。

そうですわね。わたくしが児童会長になれたのも、春風さん、あなたのおかげですわ。

ま、わたくしほどではありませんが、春風さんは誰にでも愛される、オーラがありますわ。

「おジャ魔女どれみ」をよく知っている方であれば、これらのセリフの意味するところがよく分かるでしょう。それだけ、「春風どれみ」は、周りのみんなのことをしっかりと考えていて、誰に対しても優しく、人の気持ちの痛みも分かる女の子なのです。

ということで、本稿執筆者の J.S.BUFFER は、「おジャ魔女どれみ」という作品、および主人公の「春風どれみ」を強く推しています。

小説による最新作「おジャ魔女どれみ16」

「おジャ魔女どれみ」は 2004 年の「ナ・イ・ショ」で終わって以降、長い間沈黙が続いていました。しかし、2011年12月になり、小説 (ライトノベル) として新作がリリースされました。

主人公の「春風どれみ」達が高校生になったという設定で、その名も「おジャ魔女どれみ16」です。

2012年7月30日現在、「おジャ魔女どれみ16」は第 2 巻まで発売されています。予定では少なくとも第 3 巻まで続くようで、さらに第 1 巻が 5 万部以上売れると CD ドラマ化される話もあるそうです。

ここでは深くは語りませんが、当時の脚本担当の方が書いているだけあって、しっかりと「おジャ魔女どれみ」になっています。正当な続編だと言えるでしょう。

さて、第 1 巻の第 2 章にて、「春風どれみ」は、とある本編でもなじみのある人物から、

いい加減にしてよ! どうして、そうやって、人の心の中に土足で入り込んでくるの?

と言われて突き放されそうになるシーンがあります。そのときのどれみの対応も非常にどれみらしく、当時の描写、雰囲気、そしてその内容の良さが変わっていないことに感慨を受けました。

放っておけない状況のときは、人の心の中に土足で入り込んでいくほどのお節介さを見せることもある「春風どれみ」。このような描写は本編の中でもたびたびありましたが、そこが一番どれみらしいところで、「春風どれみ」の良さだと感じています。